田んぼの一年 V
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苗を育てる   稲を育てる  稲の収穫

稲の収穫

 稲も色づいてきた。8月の末には田んぼの水を切り、地面を乾燥させる。それで稲刈り機が入れるようになる。
 今まで緑一色の稲が、黄色になっていく。不思議な色だ。心躍る色だ。

 9月の半ば、いよいよ待ちに待った刈り入れである。
 3月の末に始まった苗作り。5月中旬の田植え、そして、壮絶な除草作業を経て、いよいよ刈り入れである。
 稲刈り機はつくづくすごい機械だと思う。稲を刈って、まとめて縛って、それを放りだしてくれる。

 通常の農家では、大きな稲刈り機が稲をあっという間に刈り取り、その稲刈り機が脱穀機となって稲粒を袋に詰めてくれる。それを農協のライスセンターに持って行って、大きなサイロのような乾燥機でガスで乾燥させる。
 自家用田んぼの特権か。ここでは天日干しをする。田んぼで8割、はざで2割、熟成させる、といわれる。天日干しは乾燥させるだけではなく、熟成させるためでもあるのだ。
 稲との格闘が終わり、はざの姿を見るにつけ、充実感というか達成感に包まれる。これは、ものを作る人たちの共通した感動ではないだろうか。
 神様が創造の7日目に休まれた、という安息日は、達成の喜びの7日なのではないかと思うのである。

 

 佐原地区の中心ともいえる、バス停の広場から見た風景であるが、青いはざシートがかかった下から3本が私のはざである。このような目抜き通に、私の田んぼはある。

 外国から訪れた鳥好きの観光客が驚くのは、日本のスズメはかわいい、ということらしい。
 はざに架けた稲を、スズメは群れをなして襲ってくる。刈り入れ前の、まだ田んぼにあるときからスズメの被害は大きい。ところが、はざにかけてからはすさまじいものがある。この地面に落ちた籾殻は、スズメの食い残しである。

 稲から米粒だけを取り出すのを脱穀という。私は小規模農家なので、脱穀機の小さな中古品である。それでもよく働いてくれる。脱穀して、袋に入れ、一杯になったらブザーで知らせてくれる。だいたい30kgである。

 この袋を、上の道路の軽トラックまで運び上げなければならない。そこは、運搬車の出番である。
 アフリカのセネガルから来ている青年が手伝いに来たときは、運搬車はいらない、といって、全部担いで運び上げてくれた。

 
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