第二章 創造の福音


62 信仰者たちの確信
 科学と宗教は、それぞれに独自のアプローチで現実を理解しながら、双方に実りをもたらす中身の濃い対話に入ることができるのです。


 第二章は神の創造に関する聖書的、神学的考察で、この回勅の土台をなす重要な章である。
 回勅は近世ヨーロッパ思想が精神と物質という二元論に分かれ、それが宗教と科学の分離を引き起こし、宗教の無い科学、科学の無い宗教に陥っていることを認めつつも、それでも宗教と科学は中身の濃い対話が出来ることを主張している。

 この二元論はキリスト教の信仰にも大きな影響を与え、いつからか神の救いだけが強調され、神の創造が意識されなくなってしまった。回勅は、神の創造の正当な地位を取り戻そうとしているかのようである。

 南信州の山の中で、二十年間、無農薬・有機栽培で稲と野菜を育ててきたわたしにとっても、この第二章は大切な章である。地球に優しくいのちを守る農業を目指し、小規模ながらそれに挑戦してきた。ラウダート・シはそのようなわたしの支えとなり、農業を退いたいまは少しでもその恩返しにでもなるかと、ラウダート・シの解説に挑戦している。