第一章 ともに暮らす家に起きていること

V 生物多様性の喪失 

32−42


32.地球資源の強奪
 地球の資源は強奪されている。その強奪は種の喪失を伴う。
 さまざまな種は、この先、人類の必要を満たし、環境問題を解決する鍵となる可能性を秘めた遺伝子を有している資源です。

33.種の価値
 種はそれ自体で価値を持っている。毎年、幾千もの動植物種が消滅している。
 もはや何千もの種がその存在をもって神に栄光を帰すこともなく、私たちにそのメッセージを伝えることもなくなるのです。

34.種の役割
 比較的数の少ない種が、特定の場所の平衡状態を維持するために重要な役割を果たしています。
 人間の自然への介入がますます頻繁になってきました。この一つの問題を解決するための人的介入が、さらに状況を悪化させるような悪循環をもたらします。

35.不十分な環境アセスメント
 事業計画が行う環境影響評価(アセスメント)で、生物多様性への影響の入念な調査はほんのわずかしか行われません。

36.生態系への気遣い
 生態系を気遣うには、遠くを見通す目が必要です。
 特定の社卯が滅ぼされる、あるいは深刻に傷つけられる場合、そこにかかわる価値ははかりしれません。

37.保護の強化
 保護区などの設置による保護の強化が必要とされる場所があります。

38.環境と天然資源保護のための働き
 生物多様性が豊富な場所を保護するための国際機関や市民社会組織の献身的な関与を賞賛せずにはいられません。

39.原生林や湿地の独自性
 植林による原生林の置き換えも、生物多様性に深刻な影響を与えます。
 湿地が耕作地に置き換えられると、それまで養われていた膨大な生物多様性が失われます。

40.乱獲による生態系の破壊
 河川や湖沼、海洋に住む生物は、制限のない漁業の影響で特定の種が激減しています。

41.海洋生物への悪影響
 サンゴ礁に見る海洋汚染と海洋破壊の現実。
 
42.家に住む家族
 すべての被造物はつながっているのですから、愛と敬意をもってそれぞれを大切に受け止めなければなりません。わたしたちは皆、互いを必要としている被造物、この家族を気遣う責任があります。


 環境汚染や環境破壊により発生している諸問題の根本には、いのちの破壊、いのちの消失がある。菌類やプランクトンのようなものから大型の哺乳動物に至るまで、多様な種の絶滅、あるいは絶滅の危機に瀕している。種の多様性は神の創造の豊かさであり、神のメッセージの宝庫である。
 教皇回勅はその種の絶滅を必死に食い止め、守り、保護しようと訴えている。