第一章 ともに暮らす家に起きていること

T 汚染と気候変動

20−26

U 水問題

27−31


T 汚染、廃棄物、使い捨て文化
20.汚染
 大気汚染、土壌汚染、水汚染
 テクノロジーは、事象間の神秘的な関係の網(つながり=ネットワーク)を理解する力がない。

21.廃棄物による汚染
 廃棄物の多くは生分解性を有さず、高い毒性と放射性を持っています。私たちの家である地球は、ますます巨大なゴミ山の体をなし始めています。

22.使い捨て文化
 私たちの産業システムは生産と消費のサイクルが一巡する終点で、廃棄物や副産物を吸収し、再利用する能力を開発してこなかった。
 わたしたちは、非再生可能資源の使用を可能な限り控え、その消費を削減し、その効率的利用を最大化し、再資源化しながら、現世代と将来世代のための資源保存を可能とする循環型生産モデルを未だに適切に取り入れることができていないでいます。

共有財としての気候
23.気候は共有財
 気候は共有財の一つであり、すべての人のもの、すべての人のためのもの。
 気候システムの憂慮すべき温暖化を目撃しているということを示す非常に堅固な科学的コンセンサスがある。
 この問題の悪化 ー 化石燃料の集約的利用と営農目的の森林伐採

24.温暖化は炭素循環に影響を
 温暖化は炭素循環に影響を与えます。
 もし現在の傾向がこのまま続けば、今世紀が著しい気候変動と空前の生態系破壊の舞台となる。

 
炭素循環とは植物や大地、海水が炭素を吸収し、酸素を排出するという循環システムが、温暖化によって乱され、その結果として、生態系が破壊されていくことになる。

25.気候変動は、地球規模の問題

 気候変動は、環境、社会、経済、政治、そしてざいのぶんぱいに大きく波及する地球規模の問題です。それは、現代の人類の眼前にたちはだかる重大な課題の一つです。
 貧しい人々を巻き込む悲劇に対する反応の鈍さは、同胞への責任感の喪失を示している。

26.気候変動の負の影響を減らす努力
 気候変動の負の影響を減らすために、わずかな努力しかなされていない。
 わたしたちが現今の生産・消費モデルを持続していくならば、そうした影響が悪化し続けるであろう。


 大量生産、大量消費、大量廃棄は、森林伐採のような大量破壊、海洋や大地からの大量搾取、そして、大量廃棄によるさまざまな汚染を引き起こしている。それはわたしたちが住んでいる地球のみならず、私たち自身をもひどく傷つけている。とくに貧しい人たちが住んでいる地域は悲惨である。
 この解決の道は大量消費、大量廃棄というライフスタイルを変えるしかなさそうであるが、いかにしてそれが可能なのか、今のところまだその解決の道は見えてきていない。
 また、人類みんなの財産である大気の汚染とそれに伴う気候変動も、わたしたち人類の産業ー消費構造から来るだけになかなか解決の実行が上がっていない。
 さらに温暖化と気候変動の関係もさまざまな面で不確実な要素が多く、はっきりとした対策も立てにくいのが実情である。また二酸化炭素の削減は政治経済に直結し、先進国と発展途上国との間に大きな溝がある。
 その中で、教皇フランシスコは貧しい人々がその犠牲になっている現状に、責任感を持って対応し、解決を図っていくよう勧告している。


U 水問題
27.過度な浪費と廃棄
 先進諸国や社会の富裕層では、浪費と廃棄の習慣がこれまでにないレベルに達している。
 地球開発はすでに許容限度を超えて折り、それなのにいまだに貧困問題を解決していない。

28.清潔な飲み水
 清潔な飲み水は、最重要課題です。
 多くの場所で需要が持続可能な供給を超えており、深刻な状況である。
 水の危機はとくにアフリカに影響を及ぼし、安全な飲み水を入手できなかったり、干ばつを経験しています。

29.貧しい人々が利用できる水の質
 とりわけ重要な問題は、貧しい人々が利用できる水の質です。日々、安全でない水が、水に関連した疫病の蔓延を招いています。
 鉱・農・工業、家庭排水による水の汚染。

30.水の商品化、私有化
 安全な飲み水を入手することは、人間の生存に不可欠で基本的で普遍的な人権です。
 飲み水に事欠く人々は。不可侵の尊厳に根ざす生存権を否定されているのですから、私たちの世界は、貧しい人々に返済すべき甚大な社会的負債を抱えているのです。

31.水不足への緊急措置
 緊急措置が講じられなければ、数十年のうちに激甚な水不足が起こるかもしれない。
 巨大な多国籍ビジネスによる水支配が、今世紀の主な紛争源になるかもしれない。



 急激な都市化、工業化、人口増による水の汚染と水不足は、いまや一つの地域や国を超えて全世界的な問題として進行している。それは許容限度を超えた開発にあると回勅は言い、人間集団の節度を欠いた活動に原因があるという。(高橋裕「地球の水が危ない」)
 都市部の急激な人口増は、政治、経済、農業政策の失敗から発生した大量の都市部流入と自然増である。とくに都市部のスラム街の水状況は劣悪で、基本的で普遍的な人権すら侵されている状況である。