第二章 創造の福音

X 天地万物の交わり

89ー92


89.わたしたちは宇宙に属するもの
 わたしたちは、神によって存在を与えられ、宇宙に属するもの、絆によって結ばれた宇宙家族で、互いに崇高な交わりを形作っている。
 「神はわたしたちを取り巻く世界とわたしたちとを密接に結びつけました」
 「特定の生物種が絶滅すれば、それをまるで手足が切断されたかのように悲しむはずです」
 
90.現実に目を向ける
 わたしたちの中にとんでもない不平等がある。
 絶望的で屈辱的な貧しさ − 大量の廃棄物を後に残す人に気づかない。

91.環境への配慮と人間への配慮
 仲間である人間に対する優しさや共感や配慮が心にかけているならば、人間以外の自然との親しい交わりの感覚は本物ではありません。
 環境への配慮はこうして、仲間である人間への真摯な愛、そして、社会問題の解決のための揺るぎない献身と結ばれる必要があります。

92. 

 地上の被造物仲間に対する無関心や残虐行為は、遅かれ速かれ、他の人間への接し方に影響を及ぼすことになるのです。
 「平和、正義、被造界の保全は、完全に相互接続した三つのテーマである」
 被造物一つ一つに向けられた神の愛は、兄弟なる太陽、姉妹なる月、兄弟なる川、母なる大地への柔和な情愛によって、わたしたちを一つにしてくれます。


 人間は万物の霊長(万物の頂点)ではなく、万物の一員として造られた。わたしたちは宇宙と深く結ばれ、互いに生態系的交わりの関係にある。これは人間の尊厳を否定するものではなく、またすべての存在するものを同じレベルとするものでもない。
 ここで存在の在り方と存在するものの意味を混同してはならない。つまり、わたしたち人類は万物と密接に繋がっている宇宙家族の一員であり、存在するものはそれぞれ神に愛され、神に固有の意味を与えられているのである。それ故、万物に対して人間に向けると同様の思いと心配りが求められるのである。隣人とは人間ばかりではなく、天地万物も隣人である。
 それにしても、この私が大宇宙の一員であり、宇宙と繋がっているとは、なんと広大でロマン溢れた思いであろうか。