スズメは益鳥?

驚くべきスズメとの共生

(2024.12.10)


 12月9日のMSN(マイクロソフトニュース)で、信じられないような記事があり、私もそれを初めて知り、それを皆さんと分かちあわずにはいられない思いで、皆さんに紹介したいと思います。 それは、スズメに関する記事で、人間とスズメに密接な関係、驚くべく関係でした。
 1960年代の中国のできごとです。  毛沢東共産党政権は、戦後の貧しく、しかも膨大な人口を抱える中国の今後に向けた方針を、農作物と鉄鋼製品の増産へと方向付けていきます。そこでまず、農村改革として、農村の保健面と農産物増産のために「四害駆除運動」、つまり蚊、ハエ、ネズミ、スズメの駆除を進めていきました。
 農産物増産のためにスズメの駆除とはどういうことかというと、スズメは共産主義の真の敵である資本主義の鳥であると考えたのです。それは農民が苦労の末に収穫した穀物を、不当にも横取りする資本家と同じやり方をしていると考えたからです。スズメは共産主義の敵、農業改革の敵、と思われてしまったのです。
 一羽のスズメが一年で消費する穀物の量は4キロから5キロ。そこで、100万羽を駆除すると、6万人分の食料が浮くことになります。そこで毛沢東は「鳥類は資本主義の動物である」というスローガンの元にスズメの駆除を全国に命じ、おそらく数億羽が駆除されたと考えられています。

 ところがスズメの駆除によってイナゴが大発生し、イナゴが去った後には南京虫が大量に発生し、それに干ばつと洪水、森林の崩壊等が重なり稲の大凶作が始まったのです。何年にわたってなのか記述がありませんが、この大凶作で中国当局の発表では1500万人が餓死、米タイム誌では4500万人から7000万人が飢餓で死亡したのではないかといわれています。
 あまりに大きな餓死者の数字なのでちょっと信じられなくなり、「中国 四害駆除運動」で検索すると、ほとんど同じような記述がありました。すさまじい犠牲者です。
 中国政府はこの後、ソ連から25万羽のスズメを輸入したらしいです。
 これは中国だけの話ではありません。アメリカや日本の北海道でオオカミを駆除したために鹿が増え、森林や農作物の被害が甚大になり、アメリカではカナダからオオカミを輸入し、鹿の被害を防いでいるといわれています。日本では野犬狩りを徹底したため、イノシシや猿が増え、大きな被害をもたらしていて、いまは野犬狩りを中止しているらしいのです。
 この大自然界のバランスは微妙な形で保たれています。人間の一方的な都合でそのバランスを崩されていっています。それを進歩とか発展といえるのでしょうか。進歩や発展の名の下に、毎年数万の種が絶滅しているといいます。ほとんどの人はそれに気付いていません。