大阪市立東洋陶磁美術館にて (写真はクリックすると拡大します)
写真撮影が許されています。
いま、大阪市立東洋陶磁美術館で胡人俑の展示が行われている。ポスターには、唐代胡人俑の最高傑作。日本初公開、とある。
胡人とは、中国唐の時代(616〜907)、シルクロード交易で活躍した中央アジアのソグド人と見られている。ソグド人はイラン系(ペルシャ系)で、色黒の肌、深目、高鼻、多鬚などのコーカソイド(コーカサス地方の人種)としての身体的特徴が挙げられる。
俑とは、墓の副葬品として遺体とともに埋葬された人形を言う。胡人俑は2001年、甘粛省慶城県で将軍の墓(730年)から発見された陶製人形である。
私にとってシルクロードは、ロマンをかき立てる若い頃からの憧れの地である。かつて、NHKで放映されたシルクロード(絲綢之路)のシリーズは、電子音楽の調べと相まって、忘れ得ない番組であった。
なぜこれほどまでに引きつけられるのか。それは、シルクロードの世界が、まったく経験したことのない、未知の世界、神秘に満ちた世界だからであろうか。灼熱の広大な砂漠、ラクダの隊商、神秘的な遺跡群、そして、魅力的な人々、等など。
シルクロードの交易品は日本にまでもたらされ、奈良正倉院に数多く所蔵されているという。
胡人俑の男性は、独特なポーズと彫りの深い容貌に特徴がある。まるで歌舞伎の見得を切っているようなこのポーズは、ラクダの手綱を操っているポーズとのこと。
ラクダの隊商交易により、シルクロードで大きな勢力を持っていたソグド人の自信に満ちた自慢のポーズなのだろう。
それにしても顔が生き生きとしていて、これが墓の埋葬品?と驚いてしまう。
右端の写真の、男性のひげには驚かされるが、腹の出具合は笑ってしまう。
このいかつい顔つきは、どこかユーモラスでさえある。
男性のいかつい容貌とは対照的に、女性の静かで穏やかなたたずまいは、日本女性を思わせるものがある。
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