ジョウビタキ

(2020.5.16)


 今世界中で新型コロナウイルスが猛威を振るい、5月15日現在で全世界で感染者は450万人、死者は30万人を超えている。人から人へ感染するウイルスにたち向かうために、いわゆる、密閉、密集、密接という三密を避けることが鍵とされ、不要、不急の外出を避けるよう、強く求められている。
 二十年間山の中で農業をし、今はこの六本木で生活するものにとって、自然に触れ、鳥たちと触れていくのはただの趣味ではなく、生きていくための必須条件である。不要不急どころか、私の生死に関わることである。しかしこの時勢、鳥を見にいくなどとは、不要不急の最たるものなのかもしれない。
 というわけで、いまは外出も控えめにし、かつて撮り貯めた鳥たちの写真を整理しながら鳥たちにエールを送っている。
 というわけで、私の大好きなジョウビタキを紹介することにする。

 ジョウビタキは分類上は、スズメ目ヒタキ科ジョウビタキ属で、スズメよりちょっと大きいかな、といった感じの鳥である。
 漢字表記は尉鶲、常鶲、上鶲(秋の季語)。ジョウビタキはシベリアや中国大陸から渡ってくる冬鳥で、冬を代表する鳥である。
 

    とにかく、かわいい小鳥で、私の大好きな鳥である。羽田行きのモノレール・流通センター駅から歩いて15分のところにある野鳥公園。そこがジョウビタキとの出会いの場所である。

このジョウビタキの写真は、野鳥公園の4号観察小屋からのものである。小さな観察窓の前の椅子にどっかと座り、ただひたすらにジョウビタキが現れるのを待つ。ジョウビタキの気分次第で会えるともあれば、会えないときもある。
 小さな観察窓からの撮影なので、鳥次第のポーズになってしまう。

 このギャラリーのジョウビタキは、みなメスである。この野鳥公園でも、また同じ東京湾内にあり、対岸に東京デズニーリゾートを望む葛西臨海公園でも、メスのジョウビタキにしか会っていない。

 オスは灰色の頭と黒い顔。背と翼は黒。胸から腹にかけて赤みがかった橙色、とけっこう目立つ鳥であるが、メスは素朴な目立たない色合いである。オス・メスともに翼の白い斑点が特徴である。

 北方から日本で冬を越すためにやってくる冬鳥。
 南方から夏を過ごすために日本にやってくる夏鳥。
 また、シベリアからオーストラリアやニュジーランドを往復する(実に6千kmから1万km)途中で日本によっていく旅鳥。そこには、なぜ?どうして?といった神秘が満ち満ちている。
このかわいいジョウビタキにも不思議がいっぱい詰まっている。

 彼女の方から、こんなすばらしいワンショットを提供してくれた。
まるで深窓の淑女といった姿である。彼女の名誉のために一言。
この写真はいっさい写真ソフトによる加工は加えていない。全くのあるがままの姿である。


 中世のフランシスコ会士で偉大な神秘神学者であったボナヴェントウラは、神へ至る三つの道の第一番目に、被造物を通して神へという道を示した。ジョウビタキの写真を見ていて、神様って優しい方なんだな〜、とつくづく思ってしまった。