食が危ない
 (2007.10.10)

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エコロジーの部屋


 昨日(10.9)の朝日新聞「奔流21 中国」という記事の中で、以前から言われていたことではあるが、あらためて戦慄を覚える記事を目にした。それはこういう記事である。
 「北京市の産婦人科医院で7歳の女児に会った。すでに生理があり、乳房はふくらみ始めていた。診察した医師はため息をつき、言った。
 『ホルモン成分を含んだ水産物の影響だろう』
 6歳児にひげが生えた例もあるという」
 消費者の要求に応えるために、時には農産物や養殖水産物にも成長促進剤や成長抑制剤などのホルモン剤が使われることがある。それが成長期にあり、身体がまだできあがっていない子供に重大な影響を及ぼし、生育異常をきたしているのである。

 私は一人住まいで自炊をしているので、週に何度かスーパーに食料品を買い出しに行く。以前は少しでも安いものをと、中国産の椎茸や野菜、時にはちょっと贅沢してウナギの蒲焼きを買っていた。ところが、農薬やホルモン剤が検出されるに及んで、いまでは少々高くても国産品を買うことにしている。このようなものは消費者がノーを突きつけなければ改善されていかないからである。しかし、家計を預かる主婦にとっては、さぞかし頭が痛いことであろう。
 
 ホルモン剤の使用はなにも中国産に限ったことではない。日本国内でも大いに使用されている。
 たとえば、種なしブドウである。そもそも植物が実を付けるのは、子孫を残すため、動物や鳥に実を食べてもらい、中にある種を遠くに運んでもらうためである。あくまでも種のために実があるのである。
 しかし、その種がじゃまと思う消費者のために、種なしブドウを栽培するようになった。種なしにするためには、種が出来る前に実を熟させてしまえばよい。ブドウでは種が出来る前にジベリンという成長ホルモン剤を注入し、強制的に成長を早め、熟させてしまうのである。種なしスイカのためにはX線を照射するという。
 私たちがこのスイカやブドウを口にする時、このホルモン剤やX線が消えてなくなっていれば問題はないが、もし、残っているとするなら、とくに子供たちや妊婦の胎児には重大な悪影響を及ぼすこととなる。

 生産者は生産物が売れるようにするためには、消費者の好みに合わせていかなければならない。そのために生産者は品種改良(改悪?)や薬品を使って消費者の好みにあったものを生産していくことになる。しかし、それはしばしば、消費者ばかりでなく生産者にも多くの犠牲者を生み出すことになってしまう。
 
 農薬といわれているものには、殺虫剤、殺菌剤(病気予防および治療)、除草剤、そして、生育促進や抑制のためのホルモン剤、そのほか、保存のために放射線やX線照射がある。(たとえば、ジャガイモの芽が出ないようにするため)
 そして新たに問題視されてきているのが遺伝子組み換えである。

 もうこれは消費者が学習して、意識を深めていくしかない。