無農薬・有機栽培農業へのこだわり

それにしてもしんどい農法だ

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エコロジーの部屋


 先日、一人で収穫の感謝祭をしました。感謝祭といってもただ初物を食べただけですが、それでもこんなに感動したのも久しぶりです。  新米のごはん、収穫したての里芋を皮のまま茹でてわさびしょうゆ、それに、サンマを焼いてこれもとれたての大根おろし、これが今年最後のレタスとトマトのサラダ、それに小カブの漬け物、と買ってきたものはサンマ一匹だけ、あとは私の田んぼと畑からとれたものばかりです。
 化学肥料を使わず有機肥料だけで、そして、農薬をいっさい使わないで育てた米と野菜です。無農薬・有機栽培はたしかに過酷といえるほど手間ひまがかかり、大変な農法だということが骨身にしみて感じました。冬の間のボカシ肥づくり、そして、猛暑の中での草取りはとくに大変なものです。しかし、安心して食べられますし、味も有機栽培なので抜群です。

 農薬には害虫などを殺す殺虫剤、病原菌を殺す殺菌剤、そして、雑草を枯らす除草剤などがあり、生長促進剤やホルモン剤のような植物生長調整剤も農薬になります。  農薬は田んぼや畑ばかりではなく、ゴルフ場や牧草地、山林、それに道路脇の除草にも使われており、日本中が農薬まみれになっています。人手不足と効率化から農薬が多用されるようになりました。
 しかし、農薬は、生産者と消費者の健康ばかりではなく、この自然界をも蝕んでいます。たとえば、農薬のせいで秋の風物詩、赤とんぼ(東日本では「秋アカネ」、西日本では「薄羽黄トンボ」)が激減したといわれています。赤とんぼが田んぼに卵を産み落とすことがわかってきたのはここ十数年前からだ、ということを本で知り驚いていますが、これでは農薬を湯水のように使う田んぼで絶滅するのは当たり前です。  幸いなことに、私の田んぼでは赤トンボが無数に飛び回っています。赤トンボがいる風景は、皆が安心して生きていける風景なんですね。


 現代社会の大きな問題である心の荒廃は、その底に、破壊され、殺されていくものへの無関心と鈍感さにあります。殺すことになれてしまったのです。植物や動物、小動物が無造作に殺されている現状は、安くて虫食いや傷のない表面的な見た目の美しさを求める消費者の側にも問題があります。   大切なものは目に見えないところにある。無農薬・有機栽培はそれを教えてくれます。